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帰国後の学校選びの選択肢

広がる帰国生の中学選択肢

海外から帰国する子どもたちの帰国後の学校選びの選択肢は、ここ数年で格段に広がってきました。偏差値だけで測るのではなく、海外滞在の経験や学びを尊重し、語学力や面接などから本人の適性や素質をみる学校も増えています。英語の習熟度別授業を行ったり、海外のカリキュラムを取り入れたり、社会や理科、数学などの授業も英語で行う国際コースを用意したりと多種多様になってきています。

私立校の充実したプログラムと手厚い教育支援体制への信頼が高まり、日本国内の一般生の中学受験は毎年激化の一途を辿っており、年々過去最高受験者数を更新しています。帰国生入試もその影響を受け、年々私立への志願者数は増加し、帰国子女受験も十分な準備が必要となってきました。しかし、難関校でも帰国生入試を活用することで、一般入試よりは格段に入りやすい学校もあり、その後の進路選択が広がる大きなチャンスでもあります。

帰国子女を受け入れる学校の数も増え、その選択肢は大きく広がっています。多様性が求められるこれからの時代、海外でさまざまな経験をしてきた帰国生を受け入れたい学校は多いのです。

学校の理念や校風、家庭の教育方針、子どもの興味関心や個性、そして将来の進路などに合わせて、帰国子女受験であっても幅広い学校から選べるようになりました。そのため、偏差値や噂だけにとらわれることなく、家庭や子どもに合った学校選びが重要になってくるでしょう。

2024年度入試からの変更点を要チェック

帰国子女入試が、2024年度入試より一部地域で受験資格の厳格化が図られ、入試方法や日程に変更が生じました。

大きな変更点は2点です。

1.入試日程は、11月10日以降に行うこと。

2.「帰国子女枠」の入試の受験は、帰国生に限定すること。帰国生は、基本的に「保護者の都合などで海外に1年以上在留し、帰国後3年以内」。

これまで帰国生入試の多くは、一般と同じ2月入試だけでなく、早い学校では夏休みや10月頃に行う学校がありました。しかし、2025年度は11月20日以降に厳格化されます。

また、昨年度からの変更によって、これまで帰国子女枠で受験を認めていた国内インターナショナルスクール生や、在留1年未満、帰国後3年以上経過している帰国生については、一般受験のタイミングで「英語受験」「グローバル受験」など新たな受験枠や方法を設けた学校が増えました。受験資格や日程などの詳細は、各学校から発表されている入試規定を改めて確認しておきましょう。

帰国後に、日本の私学に進学するメリット

帰国後の学校の選択肢を考えた際に、日本の公立校、私立校、インターナショナルスクールといった選択肢が上がってくるかと思います。

そこで、やはり考えるのはその先の大学進学や将来の選択肢です。再び大学などで海外に出たい場合、鍵になってくるのは卒業するカリキュラムです。日本のカリキュラム修了では、海外の大学進学の際に、なかなかその内容が認められづらいというデメリットがありました。そこで、インターナショナルスクールを考える方もいるでしょうが、今や日本の学校でも多くの海外プログラムを提供していたり、日本と海外の高校卒業資格が得られるダブルディプロマ制度があったり、と充実した選択肢となってきています。

また、そうした海外進学を支援する私立校では、同時に日本国内でも国際教育や多様性を重視した教育をしている大学への進学をサポートしており、海外と国内両方の進学の可能性を視野に入れることができます。

中学進学段階では、まだこれから広がる子どもの興味や可能性を確定することはできないでしょうから、さまざまな進路の可能性を残すことのできる日本の私学の魅力は大きいかもしれません。

日本の私立(一条校)に通うメリットは、

― 広く、充実した教育施設

― クラブ活動や行事の豊富さ

― 比較的リーズナブルな授業料

― 手厚い学習サポートや進路指導

などが挙げられるでしょう。

また、英語圏以外の国から帰国する人にとっては、語学教育以外のプログラムやサポートが充実している学校を多くの選択肢から選ぶことができるという利点もあります。

国内外への進学もサポート

国内の私立中高一貫校から海外の大学への進学も重視されるようになり、海外大学への推薦制度のある学校、進学のための講座のある学校もあります。また、日本の勉強で不安な部分に関しても帰国子女の受け入れに慣れた学校では、学習支援のサポートがあったり、相談に乗ってくれたりする場合が多いです。

帰国生が増えつつある今、日本の私立校ではこれまで以上に帰国生の中学受験の選択肢は広がり、そして受け入れ態勢も充実してきていると言えます。


「帰国生」と「国際生」のカテゴリー
「帰国生」と「国際生」
のカテゴリー
帰国入試の受験資格

入試の変更点でも触れましたが、「帰国生」という規定が変わりつつあります。学校によっては、「国際生」「グローバル生」などさまざまな名称で呼んでいますが、その中に帰国生も含まれている場合が多くあります。

実際には、帰国生としての枠の受験資格は、学校によって異なっていますが、2024年度入試より最低でも1年の滞在年数と帰国後3年以内であることを求められることになりました。さらに学校によっては、「滞在2年以上」や「帰国後2年以内」など基準をより限定する学校もありますので、各校の募集規定を細かくご確認ください。

また、最近では帰国生や国内のインターナショナルスクール卒業生も含めて「国際生」と呼ぶ学校もあります。海外在住経験はなくても、保護者や本人が外国籍を持っている場合も国際生と考える学校もあるようですが、基本的には海外に住んでいた、または海外の教育を受けてきた子どもたちを指しています。2025年度入試よりそうした子どもたちは、帰国枠受験ができなくなる可能性がありますので、各学校にお問い合わせください。

語学力を入試に活用するには

昨今では「英語入試」も増えているように、多くの私立中学校では英語が堪能な生徒をさらに求めています。それは、ただ英語力を求めているということではなく、英語という国際言語を使って世界レベルで学び、コミュニケーションができる力をつけているという評価でもあります。

もし英語圏に滞在していた、または現地のインターナショナルスクールなど英語力が必要な学校に通っていた場合には、英語力を証明できるものがあれば入試に際し、優位になることが多いでしょう。

現地の学校の成績表、英検、TOEICやTOEFLのスコアなどが有効となる可能性があります。そういった証明があれば、英語の試験を免除する学校も出ているので、活用したいところです。

英語圏にいたのならば、英検2級以上、CFERのB1レベル以上が求められる場合が多く、学校によっては準1級以上ということもあります。さらに上位の学校になると、英検1級レベルの英文問題が出題されたり、1800年代の小説を読み解くような問題も過去に出されたことがあります。

上位校を狙うのであれば、"なんとなく"の英会話レベルではやはり通用せず、その言語で学習できるレベルが求められてきます。英語力を入試に活用するのであれば、語彙力、読解力なども含め、しっかりと準備をしましょう。

英語圏でなくても大丈夫!

英語圏以外に滞在していた方も多いでしょうが、不安にならなくても大丈夫です。日本で生活してきた生徒たちが得ることのできない体験を持っているということは、とても大事なその子の財産です。英語圏以外であっても、その国で学び、体験してきたことをきちんと評価してもらえる学校があります。

ただし、帰国生として受験するのであれば、その経験についてきちんと言語化し、どんな経験をして何を得たのか、本人が理解して説明できるようにしておくことが大切です。帰国子女受験には、多くの場合、本人または本人と保護者の面接があります。下記のような内容がよく聞かれているので、そうした内容を親子で何度か話し、本人が言語化できるようにしておくといいでしょう。

面接でよく聞かれること

―滞在国の学校での学び

―日本と滞在国の違い

―現地校での困難とどう乗り越えたか

―滞在国の友達に日本を説明するなら話すこと

―滞在国の生活で気づいた違い

―滞在国から日本に取り入れたいと思うこと

また、英語受験が難しければ国語や算数など他の教科を受験しなくてはいけないことも多いので、その分他の学習を補いましょう。作文を課す学校も多くあります。 中には、帰国生枠はあっても入試に英語を課さない学校もありますので、そうした学校の過去の入試問題を調べてみておくことも大切です。


我が子に合った学校選びのポイント
我が子に合った
学校選びのポイント

帰国生を迎える私立校でも、入学後の学び方やコースは様々です。

●一般生と区別なく共に学ぶ学校、習熟度別の英語授業のある学校

●第二外国語を学べる学校

●海外大学進学を視野に入れ、英語以外の教科も英語で学ぶことのできる学校

●ダブルディプロマを取得できる学校

などで家庭や子どもに合った学校選びをすることが大切になります。

とっておきの私立中学校掲載校で帰国生入試のある学校

 


帰国生入試を実施する学校は?
帰国生入試を
実施する学校は?

 

帰国生入試以外にも、4教科を求めない入試方式が増加

海外の滞在年数を問われる一般的な「帰国生入試」だけでなく、英語が得意な一般生徒も受験可能な「英語入試」、教科の学びとは一線を画す「謎解き入試」や「思考力入試」なども出てきており、日本在住の小学生や学力以外の評価軸でも受験することができます。


その子に合った学校選びを

様々な選択肢が多くある中で、改めて大事なのは我が子に合った学校を選ぶことです。海外滞在中には情報も限られているかと思いますが、学校紹介のオンライン冊子やサイトなどに加え、オンライン個別面談やオンラインの説明会など、ネットを活用して学校の先生と直接お話しできる機会も増えています。

帰国生と一括りで言っても、性格も興味も人それぞれ。国際生の多いオープンな環境で過ごすことが好きな子もいれば、一般生と区別されることなく日本的な学びの中に心地良さを感じる子、同性の中で伸び伸びできる子……とその子によって適した環境は異なります。

偏差値や知名度だけに惑わされず、我が子が最大で6年間通う学校として、どの学校であれば充実した毎日を送ることができるのか、改めて家族が一緒に話し合う機会を持ち、子どもに合った学校選びをしてください。そうした姿勢で学校をみていけば、充実した生活が送れる学校にきっと出会えることでしょう。

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